結束バンドの使用上の注意

結束バンドの使用上の注意

結束バンドは、材質や形状によりデリケートな取り扱いを必要とします。その特性を知らずに誤った方法や環境下で使用されると、結束外れや破断といった不具合を誘発してしまうことがあります。

よくあるインシュロックタイの誤使用例


屋外で使用する結束バンドは、黒色か乳白色どちらでしょう?

屋外用と屋内用結束バンドの見分け方は、色を見る方法が一般的です。屋外で使用できる結束バンドは「耐候グレード」製品で、紫外線遮蔽(しゃへい)剤カーボンブラック(carbon black)を添加しているため、黒色がほとんどです。弊社のインシュロック(結束バンド)製品の耐候性は、型番最後に“W”が付いています。※“W”は“Weather Resistant”(耐候性)に由来しています。
乳白色の結束バンドが屋外で使用されている場合、材質にカーボンブラックの添加がないため、紫外線による劣化が起き、破断する危険性が高くなります。

では、耐候性のインシュロックタイは黒色だけ?

一般的な見分け方は黒か乳白色になりますが、インシュロックのABタイシリーズの中では、耐熱・耐候グレードの耐候性カラータイ(型番の最後に“IVY”(アイボリー色)と”GRY”(グレー色)が付く製品)は、耐候性なのに黒色ではない製品です。そのため、建物の外壁や、エアコンなどの空調設備に馴染み外観を損ないません。

インシュロックタイは、製品袋で耐候性と、そうでない製品の判別が可能

弊社のインシュロックタイの袋には、「屋内用」、「屋外用」の表記があります。また、ABタイ屋内用(標準グレード)袋の場合、「紫外線の当たる場所でのご使用には耐候グレードをご使用下さい」という表現で(一部の製品を除く)、使用者の方への注意喚起を明示しています。

製品袋

基本的な注意事項

〈 ナイロン樹脂の特性 〉

■吸水性

ナイロン樹脂は、吸水することによって強靭性、耐衝撃性、柔軟性に優れた特長を発揮しますが、絶乾状態や低吸水状態、あるいは低温環境下にさらされると、柔軟性が損なわれる特性があります。

そのため、弊社で製造したナイロン製インシュロックタイは、製造工程において適切な調湿処理を施しています。これにより、製品の柔軟性を保ち、結束作業のしやすさ、初期強度、及び結束後の製品強度の安定性を実現しています。

ただし、ナイロン製インシュロックタイを低温・乾燥状態が続く環境に長時間放置すると、製品の吸水率が低下し、樹脂全体の強度は高くなる反面、柔軟性が大きく低下します。特に厳寒期などに放置された製品は剛性を増し、結束しようとした際に不具合が生じることがあります。

インシュロックタイは、温度20~25℃ / 湿度40~60%Rhの環境下での使用が望ましいとされています。厳寒期には、製品を室温で30分以上なじませてからご使用ください。また、開封した製品を一度に使いきれない場合は、密閉性の高い容器(パスタケースなど)に移すか、製品袋の開封口をヒートシールするなどして、密封保管してください。

〈 特殊樹脂の特性 〉

結束バンド
結束工具

■結束時のご注意

特殊樹脂を使用した結束バンドは、一般的なナイロン66(PA66)では実現できない、優れた耐環境特性を備えています。 例えば、高温のオイルに浸漬する環境下や、薬品、塩害にさらされる場所でも劣化しにくい高い耐性を発揮し、過酷な状況での使用を可能にします。一方で、これらの特殊な材質は、ナイロン66のような高い柔軟性を持たないものが多く、衝撃や曲げに対する耐性が低いという側面もあります。

具体例として、優れた耐薬品性を持つふっ素樹脂(ETFE)製のタイは、無理に折り曲げると白くひび割れて折れやすくなる性質があります。また、ポリプロピレン製のタイは衝撃に弱いため、思い切り力を入れて縛り上げたり、結束工具の締め付け張力を高く設定し過ぎると、負荷に耐え切れず、ヘッド部の爪が欠損したり、爪の噛合部分が潰れたりするといった結束不良の原因となる可能性があります。

これらの特殊樹脂製結束バンドで結束作業を行う際は、破損や不具合を防ぐため、取り扱いには十分ご注意ください。被結束物の径が小さ過ぎるものや、楕円などの特殊な形状の場合は特に注意が必要です。また、斜めや捻じり方向への締め付け、または必要以上に強く締めて過度な負荷をかけることは避けてください。結束工具を使用する際は、タイヘッド部に対し工具先端の口金が正しくまっすぐあてがいながら締め付けてください。

結束バンド
結束工具

〈 安全にご使用いただくために 〉

■安全上のご注意

弊社製品を正しく安全にご使用いただくため、以下の点について十分にご注意ください。

  • ●指など身体の一部を絶対にしばらないでください。
  • ●万一、製品を飲み込んだ場合は、直ちに医師の診察を受けてください。
  • ●製品の一部などが誤って目に入った場合は、直ちに水で十分に洗浄し、医師の診察を受けてください。
  • ●特にアレルギー体質で肌が敏感な方は、十分注意してご使用ください。万一、人体に異常があった場合は、直ちに使用をやめて医師の診察を受けてください。
  • ●ご使用前に、設置箇所への影響や製品の適切性について十分に検証・評価し、問題がないことを確認した上でご使用ください。
  • ●一般的に樹脂製品は、加熱や焼却によりガスが発生する恐れがあります。作業時は、換気に十分注意し、保護具を着用してください。
  • ●廃棄する際は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」ならびに「各自治体の取り決め」に従って処分してください。